子どもにも歯周病リスクがある?歯磨きだけでは予防できない?
ひと昔前まで歯周病は、高齢の方がかかる病気として知られていました。今でも“60代や70代の高齢者がかかる病気”と認識している方もいらっしゃることでしょう。現状は大きく変わっています。日本人の成人の約8割が歯周病にかかっているといわれているように、20代、30代で歯周病を発症することも珍しくはないのです。今回はさらにもう一歩踏み込んで、子どもにも歯周病リスクがあることをお伝えしたいと思います。
意外に知られていない「萌出性歯肉炎」
歯磨きの回数はあらかじめ決めておくものではなく、毎食後行うことを意識してください。それは朝昼晩の食事だけでなく、3時萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)とは、歯が生える(=萌出する)際に発症する歯周病です。歯茎に炎症が限定している“歯肉炎”なので、重症度は高くありませんが、歯周病の一種であることに間違いはありません。好発する年齢がかなり低いので、親御さまは驚かれるかもしれませんね。萌出性歯肉炎の主な原因は、食物による刺激やプラークの堆積による細菌の繁殖です。歯がしっかりと生えてくるまでは歯磨きしにくい状態も続くことから、歯肉炎の症状が目立ちます。歯が完全に萌出して、口腔ケアもしっかり行えるようになったら、歯肉炎の症状も自然と消失していきます。
進行が早い「若年性歯周炎」
子どもというよりは、10代以降の若い人に発症するリスクが高いのが「若年性歯周炎(じゃくねんせいししゅうえん)」です。「若年性」という名前が付けられているように、若い人を中心に好発しますが、30~40代で発症する人もいらっしゃいます。この歯周病の特徴としては、「進行が早い」点が挙げられます。そのため「侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)」と呼ばれることもあります。プラークの付着量とは関係なく病態が進行していくことから、難治性の歯周病としても知られています。
子どもの歯周病の予防方法
萌出性歯肉炎に関しては、積極的に予防することはなかなか難しいです。というのも、歯がどのような状態で生えてくるかによっても、そのリスクが大きく変化するからです。ただ、通常の歯周病と同様、口腔ケアをしっかり行うことでプラークや歯石の堆積が抑えられ、歯周病の予防にもつなげることができます。
もちろんそれは、セルフケアだけでなく、プロフェッショナルケアも継続的に実施することが重要です。やはり、個人の歯磨きだけではどうしても磨き残しが生じてしまうものです。とくに、歯が生えてくる発育期のお子さまは、口内環境が悪くなりやすいため、専門家のチェックやクリーニングを定期的に受けるようにしてください。これから歯が生えてくる、もしくは生えている途中の歯がある場合は、心配なことも多いかと思いますので、お気軽に当院までご連絡ください。萌出性歯肉炎のリスクも含め、ていねいに診査いたします。
歯周病菌も家族からうつります
最後に、子どもの歯周病の感染源についてですが、これは虫歯と同様、一緒に暮らしているご家族であることが多いです。歯周病菌も唾液を介して感染が広がることから、ご家族の歯周病予防に加え、感染のリスクが高まる歯の萌出期はできるだけキスなどのスキンシップ、食べ物の口移し、食器の共有などを控えるようにしてください。そうした取り組みがお子さまの歯周病予防に寄与します。
まとめ
このように、歯周病はご高齢の方だけの病気ではなく、子どもや20代の若者も発症します。とりわけ萌出性歯肉炎に関しては驚かれた方も多いことでしょう。そんな子どもの歯周病を予防するためにも、できるだけ早く歯医者さんデビューして、かかりつけ歯科医と呼べる先生を見つけるようにしましょう。当院であればそのお手伝いができます。