子どもの「お口ポカン」は歯並びだけでなく全身にも悪影響がある?
普段から口が半開きになっている状態を「お口ポカン」といいます。いわゆる俗称ですが、子どもの悪習癖を認識する上ではわかりやすい名前の方が良いので、歯科の医療従事者もお口ポカンという言葉を使うことが多いです。今回はそんなお口ポカンに伴うリスクやデメリットについて、わかりやすく解説します。
「お口ポカン=子どもの可愛い仕草」は間違い
何かの出来事を目の当たりにして放心状態となり、お口がポカンと開いてしまうことは誰にでもあることです。それがお子さまに見られると、愛くるしい印象を抱きますよね。けれども、お口ポカンが習慣化している場合は話が少し変わります。なぜなら、お口ポカンの状態が続くことは、以下に挙げるようなデメリットを伴うからです。
お口周りの筋肉が発達しない
私たちのお口は本来、閉じているのが正常な状態です。その際、「口輪筋(こうりんきん)」を始めとしたお口周りの筋肉が収縮しているのですが、お口ポカンでは弛緩してしまっているのです。つまり、筋肉を使っていない状態が習慣化することで口を閉じること自体が難しくなっていきます。私たちのお口は本来、閉じているのが正常な状態です。その際、「口輪筋(こうりんきん)」を始めとしたお口周りの筋肉が収縮しているのですが、お口ポカンでは弛緩してしまっているのです。つまり、筋肉を使っていない状態が習慣化することで口を閉じること自体が難しくなっていきます。
低位舌による歯列の幅の狭窄
口を閉じている状態では、舌がお口の天井部分に接触するとともに、上の歯列を側方に拡大する圧力を与えます。お口ポカンでは舌が下方に位置しており、上の歯列の拡大に寄与しないため、上顎歯列弓の狭窄という症状が現れます。その結果、前歯が前方に飛び出したり、スペースの不足によって乱ぐい歯が誘発されたりするのです。
顎の骨の発育が遅れる
上顎歯列弓の狭窄は、そのまま顎の骨の発育の遅れへと発展します。歯列に適切な圧力が加わらないと、顎の骨もそれ以上、成長しなくて良いと判断して、成長が止まってしまうのです。
お口ポカンが全身に与える悪影響
ここまでは、お口ポカンによる口腔周囲への影響を解説してきましたが、ここからは全身に与える悪影響についてです。
風邪などの感染症にかかりやすくなる
お口ポカンのお子さまは、ほぼ間違いなく口呼吸をしています。お口には鼻腔にあるような病原体を排除するフィルターが存在しておらず、大気中の細菌やウイルスが直接、喉の奥へと侵入します。お子さまが風邪やインフルエンザなどにかかりやすい場合は、まず呼吸法からチェックしましょう。また、口呼吸では十分な酸素を取り込むことが難しく、鼻呼吸の子どもよりも集中力に欠けることが多いです。運動や勉強に苦手となり、生活全般に大きな悪影響が及びます。
虫歯・歯周病のリスクも上昇
虫歯や歯周病も細菌感染症ですよね。とくに口呼吸では、お口の中が乾燥することで口内細菌の活動が活発になり、虫歯や歯周病のリスクが上昇します。これはまたお口の中の悪影響へと戻りますが、お口ポカンに伴うリスクとしては極めて重要と言えるでしょう。
お口ポカンは矯正でもなおせる?
お子さまのお口ポカンがどうしてもなおらないという場合は、当院までご相談ください。いわゆる口呼吸は、小児矯正で改善することも可能です。その結果、歯並びや噛み合わせの異常も予防しやすくなることでしょう。
まとめ
今回は、子どもの「お口ポカン」について解説しました。一見すると可愛らしい表情に見えますが、お口の中と全身に深刻な悪影響を及ぼすことも珍しくないため、適切な時期に改善するのが望ましいです。