保険で作れる「CAD/CAM冠」とは?
保険診療では、奥歯の被せ物治療に「銀歯」が使われるのが標準的でした。おそらく、皆さんの中にも銀歯がお口に入っている方がいらっしゃることでしょう。それが数年前から「白い歯」も入れられるようになり、保険診療でも審美面に配慮できるようになったのです。専門的には「CAD/CAM冠(キャドキャムカン)」と呼ばれる被せ物で、銀歯にはないメリット・デメリットがいくつかあります。今回はそんな保険で作れる白い歯について詳しく解説します。
CAD/CAM冠ってなに?
CAD/CAM冠とは、コンピューター上で設計して、ミリングマシンという機械で自動的に削り出した被せ物を意味します。これはかなり前か歯科治療に導入されているシステムであり、セラミックインレー(詰め物)やセラミッククラウン(被せ物)を製作するために広く利用されています。それを保険診療の被せ物治療まで活用できるようになりました。
CAD/CAM冠の見た目について
CAD/CAM冠は、「ハイブリッドセラミック」というレジンとセラミックを混合した材料で作られます。“セラミック”という名前がついていますが、どちらかというと歯科用プラスチックであるレジンに近いです。そのため、純粋なセラミックほど美しくはありませんが、従来のレジンよりは天然歯に近い見た目に仕上げられます。銀歯と比較した場合は、ハイブリッドセラミックの方が圧倒的に美しいといえるでしょう。
CAD/CAM冠は誰でも使える?
奥歯の被せ物治療でCAD/CAM冠を選択するためには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。とくに前から6番目の第一大臼歯に関しては、以下のような条件が課されており、一部の症例では適応できなくなります。
・前から7番目の歯が上下左右とも残っている
・左右の噛み合わせが安定し、過度な圧力が加わらない
前から7番目の第二大臼歯は、原則としてCAD/CAM冠を選択することはできませんが、金属アレルギーがあって銀歯が入れられないケースでは、例外的に適応可能です。その際は、医師の診断書を提出する必要があります。前から1~5番目までの歯に対しては、例外なくCAD/CAM冠を選択できます。
CAD/CAM冠のメリット・デメリット
CAD/CAM冠には以下に挙げるようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
・歯の色に似た白さを再現でき、天然歯列と調和しやすい
・硬すぎないため、噛み合う天然歯を傷めにくい
・金属アレルギーのリスクがない
・歯茎が黒くなるメタルタトゥーのリスクがない
・保険が適用されるため費用負担が軽い
・治療期間が比較的短い
【デメリット】
・純粋なセラミックよりも透明感に劣る
・レジンが含まれており、経年的な変色は避けられない
・銀歯やセラミック歯よりも強度が低く、割れやすい
・セラミック歯よりも傷つきやすく、プラークが付着しやすい
自費のセラミック歯とは異なります
メリット・デメリットを見てもわかるように、CAD/CAM冠はどちらかというと歯科用プラスチックに近い材料であるため、自費のセラミックとは大きく異なります。その点は混同しないように注意しましょう。もちろん、銀歯と比較した場合は優れた点が多々あり、多くのケースでCAD/CAM冠を推奨することができます。
まとめ
今回は、保険で入れられる白い歯「CAD/CAM冠」について解説しました。ギラギラとした銀歯は見た目が嫌、金属アレルギーのリスクが怖いという方は、CAD/CAM冠を検討されてみてください