歯磨き粉のフッ素推奨濃度が変わった?
歯磨き粉には、推奨濃度というものがあるのをご存知でしょうか?これは国が公的に決めているものではなく、日本小児歯科学会を始めとした4つの学会が合同で提唱している数値です。おそらく、細かい点まで知っているという方は稀でしょう。今回はそんな歯磨き粉のフッ素の推奨濃度に大きな変更点が出てきたので、あかお歯科が詳しく解説します。
そもそもフッ素濃度とは?
市販の歯磨き粉には、1,500ppmまでしかフッ素を配合してはいけないというルールがあります。これは国が定めた公的な基準です。試しに、今現在お使いの歯磨き粉をチェックしてみてください。どんなに高いものでもフッ素濃度が1,500ppmを超えるものはありません。一般的には1,450ppmまでに抑えられています。
歯科医院で受けることができるフッ素塗布では、約9,000ppmのフッ素が配合されたジェルを使うことを考えると、かなり低く抑えられていることがわかります。つまり、フッ素は安全な物質ではあるのですが、高濃度になると取り扱いに注意が必要となるのです。ただし、市販の歯磨き粉程度のフッ素濃度であれば、よほど大きな間違いをしない限り、健康被害が生じるおそれはありませんのでご安心ください。そこで今回のフッ素の推奨濃度の改定のお話に移っていきます。
年齢によって異なるフッ素推奨濃
市販の歯磨き粉は、1,500ppmまでフッ素を配合することが許されていますが、年代によってはもっと低い値の製品が適していることもあります。具体的には、以下のような年齢別の基準が設けられていました。
【改定前】
6ヵ月~5歳:500ppm
6~14歳:1,000ppm
15歳以降:1,000~1,500ppm
乳幼児期から中学を卒業するくらいまでの子供に関しては、フッ素の推奨濃度がかなり低く抑えられていました。フッ素入り歯磨き粉を誤って飲み込んでしまうなどのトラブルを懸念していた面もあるのでしょう。それが2023年1月の改定では、次のように変わりました。
【改定後】
6ヵ月~5歳:1,000ppm
6~14歳:1,500ppm
15歳以降:1,500ppm
すべての年齢で、フッ素濃度の基準値が高くなったことがわかります。小さな子供に対しても、比較的高いフッ素濃度の歯磨き粉を使っても問題ない、あるいは積極的に使っていきましょうという考えに変わったのでしょう。実際、フッ素入り歯磨き粉というのは、誤って飲み込んだとしても、すぐに中毒症状が現れるようなものではないのです。もちろん、そうしたリスクはゼロではありませんが、比較的高い濃度の歯磨き粉を使って虫歯の予防効果を強化する方がメリットも大きくなるのでしょう。これはフッ素入り歯磨き粉を子供に使う際の心強い指標となります。
フッ素塗布も受けましょう!
毎日の歯磨きでフッ素入り歯磨き粉を使うことに加え、歯科医院でのフッ素塗布も受けていれば、虫歯菌に負けない強い歯を作ることができます。今回は、フッ素の濃度に関するお話だったので、歯科医院のフッ素塗布で使用するジェルのフッ素濃度の高さ(9,000ppm)を改めて実感できたのではないでしょうか。ちなみにフッ素塗布は、歯科医師や歯科衛生士といった専門家が施術することから、小さな子供に対しても安全に実施できます。3~4ヵ月に1回の頻度で受けると、虫歯予防効果も高くなりますよ。
まとめ
今回は、歯磨き粉に含まれるフッ素の推奨濃度について、あかお歯科医院が解説しました。歯磨き粉のフッ素濃度は、今日からでも変えられるものなので、それぞれの年齢に合ったものを使うようにしましょう。繰り返しになりますが、適切な方法で使用する限り、フッ素入り歯磨き粉で大きな健康被害が生じることはまずありません。