入れ歯を使うとタンパク質が摂りやすくなる?
失った歯を放置することは良くないという話はよく耳にしますよね。それは口元の見た目が悪くなるというだけでなく、そしゃく機能に大きく低下させる一因にもなるからです。先日、公表された東北大学大学院歯学研究科の調査結果がそのことをよく表しています。タイトルの通り、歯がない部分に入れ歯を入れることで、タンパク質の摂取量が大きく改善されたという報告です。今回はそんな失った歯を補う補綴治療の重要性について、あかお歯科医院がわかりやすく解説をします。
そもそもなぜタンパク質なの?
タンパク質というのは、筋肉などを作る上で必須の栄養素ですよね。肉や魚を構成する主成分であり、しっかり噛まなければ効率よく摂取できません。そのため高齢の方で歯の本数が少なくなってくると、タンパク質の摂取量も少なくなるという傾向が見られるのです。そこで東北大学では、74歳以上の高齢者約2,000人を対象として、入れ歯を使っている人と使っていない人のタンパク質の摂取量を横断的に調査しました。
調査の結果は?
調査の結果としては、冒頭でも述べたように入れ歯を使った人の方がタンパク質の摂取量が8割改善していることがわかったのです。やはり、着脱式の装置であっても欠損部を人工歯で補うだけで、噛める食品の幅は広がるのでしょう。おそらくこれがブリッジやインプラントで合った場合は、さらに良い数値が確認できたことでしょう。なぜなら固定式の装置の方が安定性も高く、硬い肉や魚をしっかり噛めるからです。
タンパク質の摂取量が低下するとどうなる?
失った歯を治療せず放置していると、食べられる食品の幅が狭まります。それは咀嚼能率が低下するからです。例えば、残存歯の数が0~5本くらいまで低下すると、うどんやバナナ、ナスの煮つけといったあまり噛まずに飲み込める食品が毎日の食事のメインとなってきます。それだとタンパク質を効率よく摂取することは難しくなりますよね。
自分の筋肉が減っていく
タンパク質は、私たちの筋肉を作る上で欠かすことのできない栄養素です。その摂取量が低下すれば、自ずと自分の筋肉量も減っていきます。高齢になると運動する機会も減っていくことから、サルコペニアという筋肉減少症を引き起こしてしまうのです。筋肉が減ることで次に起こるのは転倒などのアクシデントですね。高齢の方が転倒によって骨折をするというケースは珍しくありません。
オーラルフレイルを引き起こす
肉や魚といった噛み応えのある食品をあまり食べなくなると、オーラルフレイルという症状も誘発します。口腔周囲の筋肉などが弱くなっていく現象で、噛む・飲み込む・しゃべる・呼吸する機能が低下していきます。これもまた高齢の方に深刻な悪影響を及ぼしていく症状といえるでしょう。
まとめ
今回は、失った歯を入れ歯で治療することでタンパク質の摂取量が多くなったという東北大学大学院の調査結果をご紹介しました。入れ歯を入れる重要性がよくわかる、とても有意義な調査であったと思います。入れ歯を入れることでそしゃく能率が上がり、肉や魚もしっかり噛めるようになれば、タンパク質も適切な量を摂取できるようになりますからね。
今現在、失った歯を放置している状態の方は、この調査結果を参考にして、補綴治療を検討されてみてはいかがでしょうか。ちなみに失った歯を補う補綴治療には、入れ歯以外にもブリッジとインプラントがあります。ケースによっては入れ歯ではなく、ブリッジやインプラントが適している場合もありますので、治療法の選択で迷われている方は、いつでもお気軽にあかお歯科医院までご相談ください。
参考URL:https://www.dent.tohoku.ac.jp/news/file/20230830_01.pdf