舌で感じる味覚のお話
食べ物や飲み物を美味しく味わうために大切なのは、口の中にある「舌」です。今回は、舌でどうやって味を感じているのか、味覚の仕組みについてお話します。
どうやって味を感じているの?
食べ物や飲み物の味は、舌にある「味蕾」と呼ばれる器官で感じています。口の中に「味物質」と呼ばれるものが舌に触れると、舌のざらざらした突起である「乳頭」に感覚刺激を与えます。乳頭内には味蕾が1~5個程度存在し、味を感知するセンサーとしての役目を持っています。
味蕾は舌の表面だけでなく、上顎や咽頭にも存在しており、舌だけで約5,000個、全て合わせると8,000~10,000個程度になると言われています。味蕾を構成しているのは、約50~150個の「味細胞」であり、味細胞の表面に味覚受容体が存在しています。味覚受容体に接触する味物質が一定以上の濃度になると、脳に刺激信号が送られて味を認識するのです。
味を感じやすい場所は、種類によって違う!
味覚には欠かせない味蕾は、全ての場所でどのような味でも感じられるとされています。しかし、舌の部位によって味覚受容体の種類が変わるため、舌の先、根本、中央部分、左右などの部位によって感じやすい味が異なります。味覚には「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5種類が存在しますが、舌のどのあたりでどんな味を感じやすいかをご紹介します。ぜひ食事の際に試してみて下さい。
- 甘味…舌の先の方
- 酸味…舌の奥の側面
- 塩味…舌の手前の側面
- 苦味…舌の奥の方
- 旨味…舌の中央
味覚にまつわる豆知識
ここで、味にまつわる豆知識をご紹介します
1.「旨味」は日本人が発見した!
19世紀ごろまでは味覚は「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」の4種類に分けられていましたが、その後、日本人が「グルタミン酸モノナトリウム塩」を発見し、既存の4種類では説明できない味があることがわかりました。
和食で味を決めるのに大切な「グルタミン酸」は日本人になじみがありますが、海外ではあまり使われないからか認知度が低い傾向にあったと考えられます。
2.「辛味」は味覚神経でなく、感覚神経で伝わる!
「辛い」も物を食べた時の大事な感覚ですが、「辛味」は味覚神経で伝わっているものではありません。辛すぎるものを食べた時に、口の中が痛いと感じたことはありませんか?実は、「辛味」は痛みなどと同じような感覚神経で感じ取っているのです。
3.味覚の発達は3~4歳がピーク
味覚が発達するのは3~4歳くらいでピークを迎え、10歳頃までの味の記憶が、その後の味覚の基礎となります。ピークを迎える前に色々な味の食べ物を経験し、味覚の引き出しを増やせるようにしましょう。
舌も日頃からきちんとケアしましょう
口の中の環境が良くないいと、味覚はだんだん衰えてしまうと言われています。舌にある乳頭(味蕾)の間に口の中の常在菌、食べ物のカス、口の中から剥がれ落ちた粘膜などが溜まるとしたが汚れ、口臭の原因もつながります。
舌ブラシなどの専用の道具を使って、日頃からセルフケアが出来るように心がけましょう。舌を傷つけないように丁寧に行うようにして下さい。
まとめ
今回は、舌で感じる味覚についてお話ししました。舌に存在している味蕾によって味を感じ、場所によって感じ取りやすい味の種類が違います。口の中の環境は味覚にも影響を与えますので、歯だけでなく舌もセルフケアすると良いでしょう。