矯正に対する海外と日本の意識の違い
かつては敷居が高いイメージがあった歯の矯正治療ですが、最近では矯正治療を受ける方が増えており、お子様だけでなく、大人の患者様も増加傾向にあります。一方、欧米では昔から矯正治療が活発的に行われており、歯並びが悪い大人は少ないと言われています。では、なぜ海外と日本でこのような差が生まれたのでしょうか?今回は、海外と日本の矯正治療に対する意識の差について考えてみたいと思います。
お口の健康に対する意識の違い
海外、特に欧米では、お口の健康に対する意識が昔から高いことが挙げられます。健康で美しい歯が大切にされており、虫歯があったり歯並びが悪かったりすると、「健康や美への意識が低い」、「自己管理ができていない」と見なされることもあそうです。
今では「歯科先進国」と呼ばれるスウェーデンも、かつてはお口に健康への意識がそれほど高くはありませんでした。しかし、1970年に国家戦略として「むし歯と歯周病の予防」が始まったことをきっかけに、予防歯科が盛んになりました。
歯並びが悪いと歯磨きがうまくできず、虫歯や歯周病が発生しやすくなることから、矯正治療の重要性が増していったとされています。残念ながら、日本は欧米に比べて「歯科後進国」と呼ばれており、高齢者の残存歯数も欧米の高齢者より少ないというデータがあります。
文化の違い
ご存知の通り、矯正治療は治療費が高くなります。その代わり、たとえばアメリカでは「子どもに矯正治療を受けさせること」が一種のステータスになるのです。そのため、アメリカには矯正治療の費用を積み立てる保険があり、他の欧米諸国でも18歳未満の矯正治療が無料であったり、治療費そのものが安価な国もあります。
また、欧米ではハグやチークキスを日常的に行う習慣があるので、虫歯や口臭に気を遣う必要があります。そのため、健康的で美しい歯並びが重んじられるという一面もあります。
日本でも意識に変化が
このように海外に比べて「歯科後進国」と呼ばれていた日本ですが、国際化が進み、お口の健康が全身の健康に与える影響が明らかになった現在では、少しずつ意識が変化してきています。1989年には、当時の厚生省と日本歯科医師会が推進する「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という「8020運動」がスタートしました。
先述の通り、歯並びが悪いと磨き残しが増えるだけでなく、かみ合わせも悪くなり、歯にダメージを与えやすくなるため、矯正治療が予防歯科としてクローズアップされるようになりました。
また、歯並びに対する見た目の意識が年々高まっており、幼少期に矯正治療を受けなかったことで歯並びにコンプレックスを抱えたまま大人になった方々が、矯正治療を受けるケースも多くなっています。中でも若い女性に多く、さらに営業職の男性など、人と接する機会の多い方も治療を受ける傾向にあります。この背景には、見た目の美意識の向上とともに、矯正治療の技術進歩が大きく関わっていると考えられます。
まとめ
歯の矯正治療というと、「ワイヤー治療」を思い浮かべる方が多いでしょう。ワイヤー治療はほとんどの歯並びに対応できる優秀な治療法ですが、何より装置が目立つことがデメリットでした。しかし、「マウスピース矯正」が登場してからは、治療を受ける大人の方が大幅に増加しました。
薄くて透明なマウスピース型矯正装置を使うため、目立たないのが特徴です。ほかにも痛みが少ない、歯磨きや装置の洗浄が簡単などのメリットもあります。当院では、お子様から大人の方まで幅広い年代に向けて矯正治療を行っています。歯並びが気になる方は、お気軽にご相談ください。